HAS-Ⅱとは?ヒアルロン酸の合成を促進させる働きがある
地鶏の鶏足から酵素処理により調整した、ヒアルロン酸生産素材HAS-Ⅱというものがあります。
これは、体内でヒアルロン酸を合成してくれる働きを行います。
ヒアルロン酸は軟骨において重要な働きをするだけでなく、肌の健康にも重要な栄養素です。
そんなヒアルロン酸の合成を促進してくれるHAS-Ⅱについては、その効果を実証するために様々な実験が行われており、有効性が証明されています。
軟骨前駆細胞を使った実験
どのような実験が行われ、どのような効果が期待できるのでしょうか。まずはHAS-Ⅱによる軟骨への影響を調べた実験を紹介します。
軟骨前駆細胞を使ったHAS-Ⅱの実験では、HAS-Ⅱを細胞に添加し培養することで、ヒアルロン酸性ムコ多糖の産生にどのような影響が見られるかを検証した結果があります。
その結果、コントロールを添加した群に比べ、HAS-Ⅱを添加した群では濃度依存的にヒアルロン酸性ムコ多糖の産生が増加しました。
この結果から、軟骨前駆細胞においてHAS-Ⅱはヒアルロン酸の生成を上昇させる働きがあることが分かりました。
この効果はHAS-Ⅱに特異的なものかを検証するために、コラーゲンペプチドやプロテオグリカンと比較しました。その結果、コラーゲンペプチドやプロテオグリカンのヒアルロン酸生成能はコントロールと同程度で、HAS-Ⅱのヒアルロン酸生成能はHAS-Ⅱ独自のものだということが分かりました。
HAS-Ⅱによるヒアルロン酸の増加はどのようなメカニズムかを検討するため、いくつかの遺伝子を測定したところ、HAS-Ⅱによりヒアルロン酸合成酵素やコラーゲン合成酵素の遺伝子発現量が上昇していることが分かり、これらの遺伝子発現量の上昇によってヒアルロン酸が増加したと考えられました。
膝軟骨損傷モデルウサギを用いた実験
膝軟骨が損傷したウサギを用いて、ウサギに3週間HAS-Ⅱを与えることで軟骨にどのような影響が見られるかを調べました。
その結果、HAS-Ⅱを与えたウサギでは軟骨治癒状態が良好になりました。
治癒状態を客観的に評価できるように、グリコサミノグリカンと酸性ムコ多糖を染色したところ、HAS-Ⅱを与えた群では、損傷部位でグリコサミノグリカンや酸性ムコ多糖が生成されている様子が観察されました。
こうした結果から、軟骨損傷モデルウサギにおいて、HAS-Ⅱは軟骨の損傷の修復を促進させる可能性が考えられました。
ヒトを用いた実験
ヒトを用いた実験では、ランダム化プラセボ対照二重盲検群間比較試験という、エビデンスレベルの高い実験が行われています。
膝関節に悩みを持った男女を対象に、毎朝HAS-Ⅱを含んだ、あるいは含まない錠剤を12週間飲み、膝関節を評価する項目をいくつか測定しました。
その結果、HAS-Ⅱを摂取した群では朝起きて動き出す時の膝の痛みやしゃがみこみ、立ち上がりの困難さ、平らな場所を歩く時の歩きやすさ、といった指標に改善が見られました。
こうした結果から、HAS-Ⅱはヒトにおいて膝関節の痛みなどを緩和する可能性が考えられました。
そのメカニズムとして、HAS-Ⅱによる軟骨細胞の分化促進や軟骨となる基質の産生の上昇などが考えられました。こうしたメカニズムは、他の物質にはないHAS-Ⅱ独自の効果であることも分かりました。
HAS-Ⅱは美容に効果ある?
HAS-Ⅱが軟骨へ及ぼす影響について、まとめてきました。HAS-Ⅱは、軟骨以外にも美容においても有効性が示されています。
HAS-Ⅱは、ヒアルロン酸の合成を促進させる物質です。ヒアルロン酸を作る物質を摂取するより、ヒアルロン酸そのものを摂取した方が効果が高そう、と考える方もいるかもしれません。
しかしそれは間違いです。ヒアルロン酸は体内でアミノ酸に分解され、体内に吸収されます。そのため、ヒアルロン酸を摂取しても、体内で再びヒアルロン酸になるかどうかは分からないのです。
そのため、体内でヒアルロン酸を増やすには、ヒアルロン酸を作る働きがあるHAS-Ⅱのような成分を摂取するのが効果的と言われたりします。HAS-Ⅱは、ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現量を上昇させることで、ヒアルロン酸の合成を促進させる働きがあります。
実際にHAS-Ⅱをヒトに摂取した実験では、HAS-Ⅱを摂取した群において肌の張りや目尻の小じわ、肌のカサつきなどの項目が改善されました。
肌のカサつきやシワが気になっている方はヒアルロン酸そのものを摂取するだけではなく、体内でヒアルロン酸を合成するHAS-Ⅱを摂取するのも有効のようです。
まとめ
HAS-Ⅱは、ヒアルロン酸の合成を促進させる物質で、軟骨や美容においてその効果に期待されています。
様々な実験が行われ、これからも科学的に効果があるか実証されるか注目です。